初めての方はここを見てね

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  • 2015.04.19 Sunday
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初めての方はここを見てね

久しぶりの小説w

余命後一年―――
そう、医者に告げられた。
それを聞いた少女は泣いた。少年は俯き黙っていた。
外は雪が降っている。寒い寒い、冬。
残された時間は後一年。
悲しい双子の物語―――


私、鏡音鈴はいつものようにベッドの中にいた。誰に聴かせるでもなく、歌を口ずさむ。
「〜♪」
私の夢は歌手になることだった。
だった。そう、それは過去のこと。今では叶うことすらない、私の夢。
私の命はあと一年。もう、外に出ることさえ許されなくなっていた。
だけど、私は外に出たい。
あの、白くて綺麗な雪に覆われた世界に行きたい。
コンコン。
誰かが私の部屋の扉をノックする。
「鈴、起きてる?」
「うん、起きてるよ、蓮」
「そっか。・・・・・・入るよ?」
私が答える前に、彼―――私の双子の弟の鏡音蓮―――は部屋に入ってきた。
「相変わらず歌が好きなんだね、鈴は」
「ふえっ!?き、聴こえてたのっ!?」
「バッチリ」
顔が一気に熱くなる。は・・・・・・恥ずかしい・・・・・・。
「別にいいじゃん。僕ら以外、誰もいないんだからさ」
「そぉだけどぉ・・・・・・」
恥ずかしすぎて、顔半分を布団で隠す。
普段蓮に歌を聴かれても気にすることは無かった。なのに、なんでだろ・・・・・・?
「ねぇ、蓮・・・・・・」
「ん?」
「・・・・・・私がさ、その・・・・・・死んじゃったらさ、蓮は―――」
「やめろよ、その話はっっっ!!!」
蓮が叫ぶ。私が何も言えずに彼を見ていると、
「あ・・・・・・ゴメン・・・・・・」
「私こそ、ゴメン・・・・・・」
お互い謝罪の言葉を口にし、部屋の中は沈黙に満ちた。
私、またやっちゃった・・・・・・。
蓮と顔を合わせるのが嫌で、私は窓の外を見る。
外は白一色の世界。
止むことなく、振り続ける雪。
・・・・・・ねぇ神様。私のわがままを聞いて。一度だけでいいから、この雪を・・・・・・振り続ける雪を止めて。
お願い、神様―――
「もしも・・・・・・」
「・・・・・・」
「もしも、この雪が止んだらさ、外に行こ?」
こんなこと、言っても無駄だと思った。また彼に、怒られるかと思った。
けど、私の想像と違う言葉が聞こえた。
「わかった。雪が止んだら外に出よう」
「・・・・・・いいの?」
「うん。ただし、一度だけだからな」
「ありがとう、蓮」
いつの間にか私たちは笑い合っていた。さっきの出来事がなかったかのように。
あぁ、早く止まないかなぁ・・・・・・。


一週間が経った。
あんなに降り続いていた雪が、今日に限って止んだ。
「三十七度、か。これじゃあ外に行くのは無理だな・・・・・・」
「そんなぁー・・・・・・」
前日の夜、しかも真夜中に、私は熱を出した。
朝になっても熱が下がらず、部屋の中にいた。
「せっかく雪が止んだのにぃ・・・・・・はぁ〜」
「仕方ないだろ?」
「うぅ〜」
外に行きたい。蓮と雪合戦をしたい。
そんな私の願いはいつになるのやら・・・・・・。


また一週間が過ぎた。
そういえば、もうすぐ私たちの誕生日だっけ。
その日くらいは晴れて欲しい。
熱も、出ないで欲しい。
「暇ぁ〜・・・・・・。なんで降ってる時に熱が下がっちゃうのよぉ〜」
「そんなこと言われても・・・・・・」
「蓮、何か弾いてよ」
「え?今?」
「うん」
「いいけど・・・・・・ちょっと待ってて」
蓮が部屋を出る。
小さい頃、二人で約束をしたことがあった。
大きくなったら、一緒に夢を叶えよう、と。
私は歌手、蓮はヴァイオリニストに。
その日から私は毎日歌を歌うようになった。
蓮は両親に頼んでヴァイオリンを買ってもらった。
時々私は蓮のヴァイオリンに合わせて歌うこともあった。
けれど。両親の突然の死、私の余命宣告。この二つの出来事があったせいで、夢を追うことを諦めてしまった。
それでも私は歌い続けた。
たとえ、夢は叶わないとしても。
「お待たせ、鈴」
蓮が戻ってきた。ヴァイオリンを持って。
「で。何が聴きたいの?」
「えーっとぉ・・・・・・」
「まさか、決めてなかった、とか?」
ぎくっ。
図星だった。
正直、蓮がどんな曲を弾けるのか、全く知らない。
さて、どうしよう・・・・・・。
「仕方ないなぁー・・・・・・」
蓮は呆れて溜息を吐き、曲を弾き始めた。
あれ・・・・・・?この曲って・・・・・・。
優しくて、でも、どこか切ない曲・・・・・・。
確かこの曲は、昔二人で作った曲だ。蓮が曲を作り、私が歌詞を考えて・・・・・・。結局、一番しか出来上がらなかったけど。
「・・・・・・悲しい歌にはしたくないよ・・・・・・。ねぇ、お願い今この時だけは・・・・・・」
ヴァイオリンの音に合わせて口ずさむ。
「笑っていたいよ・・・・・・あなたの横で・・・・・・、優しい歌を、歌っていたい・・・・・・」
私の歌が部屋中に響き渡る。
ヴァイオリンの音色と共に―――


十二月二十七日。
今日は私たち双子の誕生日。
そして、私の願いが叶った日。
「やったぁっ!!やっと外で遊べるぅ〜!!」
「あんまりはしゃいでると転ぶよ?」
「大丈夫、大丈夫っ!!・・・・・・きゃぅ!?」
「鈴っ!?」
雪に足を取られ、転んだ。うぅ・・・・・・痛い・・・・・・。だけど、なんだか気持ちいい・・・・・・。
「もう、言ったそばから転ぶなんて・・・・・・。鈴はドジだなぁ」
蓮が呆れたように笑いながら手を差し伸べてきた。
だが、私はその手を掴まず、地面の上に積もる雪をできるだけ多く掴み取り、そのまま蓮へと投げつけた。
「うわぁっ!?」
「私はドジじゃないもん!べーっだ」
舌を出し、私は走り出す。今度は転ばないように気をつけながら。
「やったなぁ〜?そりゃっ!!」
「にゃあっ!?」
後ろから蓮が雪玉を投げ、私に当たる。
冷たい・・・・・・。
「えいっ!!」
「それっ!!」
お互いに雪玉を投げ、ぶつけ合う。
これが雪合戦、か。・・・・・・うん、やっぱり楽しいや。
歌手になる夢は叶わなかったけれども、もうひとつの夢は叶ったよ・・・・・・。それはね―――


蓮と一緒に外で遊ぶこと。


だから、もう思い残すことはない。
「もう一発・・・・・・。鈴?」
目の前が霞む。
そうか・・・・・・もう、終わりなんだ・・・・・・。
予定よりもかなり早い、けど・・・・・・。
「―――んっ!!」
あぁ・・・・・・蓮が呼んでる・・・・・・。
「・・・・・・悲しい、歌にはしたく・・・・・・ないよ・・・・・・。ねぇ・・・・・・お願い、今・・・・・・この時だ、けは・・・・・・」
私は歌う。この想いを、彼に届けるために。
「歌って・・・・・・い、たいよ・・・・・・あなたの、横・・・・・・で。優しい、歌を・・・・・・歌って、いたい・・・・・・」
まだ、終わらないで・・・・・・。
「あな、たに捧げ・・・・・・たい・・・・・・、惜別の、歌・・・・・・。最―――」
「鈴っ!!」
私の体を蓮が抱き上げる。私は少しだけ目を開ける。
「れ・・・・・・ん・・・・・・?」
視界は真っ白で、何も見えない。目の前にいるだろう、彼の表情も、見ることが出来ない。
「鈴・・・・・・逝かないでよ・・・・・・僕を、置いてかないでよ・・・・・・っ」
泣いてるの?蓮・・・・・・。
そう言おうとして、やめた。
なぜなら、私の頬に彼の涙が落ちてきたから。
「ねぇ、蓮・・・・・・泣かないで?」


生きたい。


「死なないでよ・・・・・・っ!」


死にたくない。
でもね、もう、無理だから。
寒いよ・・・・・・。苦しいよ・・・・・・。
ごめんね、蓮・・・・・・。
最後に、伝えたい。
こんな私と一緒にいてくれたあなたへ。
蓮、今まで、


「ありがとう・・・・・・」


最後の一言。小さくて、掠れた声。
ちゃんと、届いたかなぁ・・・・・・?


―――愛してる、鈴。


そんな声が、聴こえた気がした。
私も、蓮の事、大好きだよ・・・・・・。


体中の力が抜ける。
感覚もなくなる。
そっか・・・・・・これが「死」なんだね・・・・・・。


さよなら、蓮―――


-fin-


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